【書評】宇宙ビジネス入門

1.書籍概要

2018年時点での宇宙ビジネスに関して非常にコンパクトに網羅されている本。
ロケット打ち上げといったスペースアクセスから人工衛星データの活用ビジネスまで、幅広く対応しており、宇宙ビジネスの外観を捉えるには非常に役立ちます。

2.キーワード

アジャイル開発
Apache Hadoopの活用
イネーブラーとしての宇宙技術

アジャイル開発

私がこれまで読んできた宇宙関連本の中で、おそらく初めて宇宙におけるアジャイル開発について言及されていたと思われます。
プラネット(Planet)社が導入しているとの事。
具体的にどのようなプラクティスを活用しているのかはこの本からは不明なので、別途調べること事にしようと思います。
ただ、これまでのガッチガチのウォーターフォール型の開発とは全く異なる視点。
異業種からの宇宙参入は、技術だけでなく、プロセスという観点でも重要なんですね。

これ、自分が思い描いていた宇宙利用事業のビジネスプロセスに非常に近いです。
というのも、仮説検証を繰り返すプロセスを宇宙利用事業に適用したいと思っていたからです。
(タイトルからして宇宙×アジャイルとか書いてるし)
1回作ったら終わり、PDCAサイクル回らない、大艦巨砲主義の宇宙開発ではなくて、きちんと仮説検証を短期間で繰り返しながら学びを深めていくプロセス、それをやってみたい。

Apache Hadoopの活用

衛星データの処理にApache Hadoopを使用しているとのこと。
分散プラットフォームで、Hadoopの活用はISAS(宇宙科学研究所)が進めようとしていたのを聞いたことがあるんですが、実用化(というかビジネス応用)までには至っていなかったという理解でした。
やはり海外は進んでますね。

イネーブラーとしての宇宙技術

イネーブラーとしての宇宙技術という言葉はあまり聞いたことが無かったです。
イネーブラーとは、個人の成長・自立を促す反応パターンの事で、問題行動の意味でも使われるそうです。
ここではおそらく、ビジネスを助ける技術という意味でイネーブラーという言葉を使用していると思われます。

3.本書の活用方法

活用の仕方として、以下の3点を挙げておきます。

市場規模の把握
国内外の事例の収集
技術的調査

市場規模の把握

市場規模について、宇宙開発全体、ロケット打ち上げ(スペースアクセス)市場、人工衛星市場、衛星データ活用市場、などなどそれぞれのセグメンテーションについて断片的にまとめられている。
拾っていくと業界市場規模がある程度産出できそう。

国内外の事例の収集

言わずもがな、ビジネス入門と言っているので、国内外の事例が詳細に紹介されています。
読んでいるだけでも勉強になりますが、詳細はネットなどで補間しながら学んでいきたい。

技術的調査

宇宙関連事業に関する技術的な調査のキーワード収集に活用しよう。