タスク管理のためにAWSにRedmineを構築・運用する(運用編)

1.前回の復習

前回の「タスク管理のためにAWSにRedmineを構築・運用する(構築編)」では、チケット管理システム「Redmine」をAWS上に無料で立ち上げる方法について紹介しました。
今回は、そのRedmineをどのように運用するのか、その運用方法についてご紹介します。

2.No Ticket, No Commit!

Redmineの運用方法を紹介する前に、そもそもRedmineが生まれた背景について簡単に触れておきます。
私が業務で関わっているようなソフトウェアの開発現場では、不具合が発生した際などに「不具合管理票」という「チケット」を発行して、それを元にして改修を行います。
#「チケット」といっても、映画館や博物館のようなチケットのように心躍るようなものではなく、無味乾燥なA4用紙ではありますが。。。

そのチケットを用いて開発プロセスを改善させようとする取り組みが、チケット駆動開発(TiDD)と呼ばれる手法で、その名前の通りチケットをトリガ(駆動)として開発プロセスを回していこうとするものです。Redmineは、その手段のひとつとして生まれました。
チケットなしに構成管理ツール(Subversionなど、ソフトウェアのソースをマスター管理するもの)にコミットしてはいけないということで、「No Ticket, No Commit!」がキャッチフレーズとなっています。

(参考文献)
Redmineによるタスクマネジメント実践技法

この本の前書きには、

日々複雑になるタスクの管理、頻発するバグの管理、ロードマップやバージョンの管理などを、今まで通り表計算ソフトだけで管理しているのは、もはや無謀といえるでしょう。
プロジェクト管理にも近代化が必要で、その答えの一つが、本書で紹介しているRedmineです。

という紹介があります。
つまり、最初は障害管理のトリガとして生まれたチケットの概念が、プロジェクトにおけるタスク管理の手法として進化を遂げて、ソフトウェア開発におけるプロセス改善に役立っている、ということですね。

少し雑談になりますが、Redmineはアジャイル開発と非常に親和性が高い、とも言われています。上記の本では、

Redmineでソフトウェア開発のタスク管理を行うと、RedmineのバージョンがXPのイテレーション、Scrumのスプリントに相当するように自然に運用できます。

と紹介されています。

3.管理者アカウントを作成する

さて、それでは運用に入ります。
前回、構築したRedmineにログインできるところまでを確認しましたが、ログインアカウントは仮のものですので、正規の管理者アカウントを作成します。同時に、日本語化もしてみます。

まず、メニューの「Administration」から「Users」を選択します。

初期ユーザーが表示されます。右上の「New User」をクリックします。

ログイン名、パスワード、その他の情報を入力します。
この時、Administrator権限も与えておきましょう。また、Languageを「Japanese(日本語)」に設定しておくことで、メニュー等の表示が日本語化されます。

作成したIDでログインして、メニューが日本語で表示されることを確認します。

最後に、デフォルトのユーザを削除しておきましょう。

これで、ユーザの作成と日本語化ができました。

4.プロジェクトとチケットを作成する

では、プロジェクトとチケットの作成方法を簡単に紹介します。

4.1.プロジェクトの作成方法

まず、「プロジェクト」のページから、「新しいプロジェクト」を選択します。

「新しいプロジェクト」の作成ページで各値を入力します。

この時、名称と識別子は必須項目です。
名称はプロジェクト名を自由につければよいのですが、識別子は英数字と一部記号のみしか使えず、変更もできません。ただ、表に出てくるものではなく管理的なものですので、重複しなければなんでもよいでしょう。

4.2.チケットの作成方法

プロジェクトが作成出来たら、チケットを作成します。
前述のように、このチケットひとつひとつが細分化されたタスクになります。WBS(Work Breakdown Structure)でいうところの、最も最小の単位のタスクと考えてもよいかもしれません。

まずは、チケットを作成したいプロジェクトを選択したら、メニューから「チケット」を選択し、「新しいチケット」を選択します。

「新しいチケット」の入力画面では、題名やステータス、優先度などを入力します。

直観的にわかりづらいのは、「トラッカー」でしょうか。
これは大分類のことで、例えば「バグ」とか「サポート」とかを選択できます。ただ、自分の使いやすいように設定を変更することできるため、私の場合は「会社のタスク」「家のタスク」と分けています。
ここで開始日や期日を入力しておくと、後で確認するガントチャートでスケジュールが確認できるようになります。

5.ガントチャートを確認する

最後に、登録したプロジェクトとチケットのガントチャートを確認してみます。
プロジェクトのページのメニューから「ガントチャート」を選択するだけです。

今までExcelで頑張って線引きをしていたのがウソのように、簡単にガントチャートが表示されました。

6.まとめ

今回は、アカウントの作成方法、プロジェクト・チケットの作成方法、ガントチャートの確認方法を紹介しました。
この辺りさえ覚えておけば、基本的なチケットの運用はできるようになるはずです。
細かい設定もいろいろとできますので、後は自分で調べてみて、使いやすいように使っていってみてください。

最後に、参考となるサイトだけ紹介しておきます。

■はじめてのRedmine — Redmine.JP
http://redmine.jp/tech_note/first-step/